小学3年生の長女は絵を描くのが得意です。図工の作品が市に選ばれて市民会館に飾られたり、小学校の図工室に1年間掲示されたりしています。
わたしも絵を描くのは好きでしたが、当時のわたしよりずっとずっと上手だと思います。
色彩検定やカラーコーディネーターという資格試験があるくらいなので、「色づかい」というのはきちんと理屈があるのでしょう。
でも、こどものうちはそんな理屈なんてないようなものです。「センス」なんだろうなと感じます。
そんな長女が去年、市民会館に飾られていた写真がこちらです↓
物語を題材にした絵なのですが、色づかいや配置、細かい色彩など、とても綺麗な絵でした。
絵を描くことが好きで、好きな世界へ行ってしまうと現実世界に戻ってこない長女のことなので、おそらくとても楽しそうに、とても集中してこの絵を完成させたのでしょう。
クラスメイトたちが続々を終わっているにも関わらず、こだわりすぎて授業時間内には終わりませんでした。しばらくは昼休みなどもこの絵を完成させるべく取り組んでいたとのことです。
小学校は団体行動が基本です。
わたしがこどもの頃は、「終わらなくても、終わったところまででおしまい」だった記憶があります。廊下に作品が掲示されることはありましたが、また未完の状態で飾られる子もいました。
ちゃんと完成させるまで待っていてくださったこと、本人が納得するまでやらせてもらえたことは、とてもありがたいことだと感じます。
さて、そんな絵の上手な長女は「6年生を送る会」で劇をやります。辛いことやできないことがあっても、投げ出さずに頑張ることがテーマの劇のようです。
長女の役は、「漢字の書き取りがうまくできなくて、ノートを破ってしまう女の子」の役です。
この役のために毎日学校から帰ってきてから一生懸命作っていたのが、破るためのノートです。大きな画用紙に描いたのは、「ジャポニカ学習帳シリーズ」のかんじれんしゅう91字(十字リーダー入り)です。
これが、またすごかったんですよ!
表紙に描かれている花の絵も絵の具で綺麗に丁寧に描きました。ジャポニカ学習帳は、裏表紙に世界特写シリーズと称して、自然保護のコラムや表紙に載っている花の解説などが載っています。その解説文も一言一句再現したのです↓
品番や絵と文字の配置などもほぼ同じです。
劇での役どころは、「漢字の書き取りがうまくできなくて、ノートを破ってしまう女の子」です。この完成度の高いノート。本当に破っちゃうの?
本人は破る気満々です笑
学校から帰ってきて毎日コツコツ頑張って作ったノートを、あっさりと破ろうとする長女。破ってしまうノートを毎日コツコツ完璧に作り上げた長女。
肝の座りっぷりにも、母尊敬です。
しかし、本当に破っちゃうの?と思ったのはどうやらわたしだけではなかったようで笑。
役の設定が「漢字の書き取りがうまくできなくて、ノートを放り投げる女の子」に変わりました。おそらく担任の先生かクラスメイトが破らず済むように配慮してくれたんだと思います。
劇はあらかじめ録画しておき、6年生を送る会の時に上映する予定です。先日劇の録画が終わったので、作ったノートを持ち帰ってきました。
破られずに済んだ長女作のジャポニカ学習帳。しかし、長女自身は心なしか不満そうなのが印象的でした。破りたかったんだって。
長女は今回のことに限らず、作りあげていく過程はとても楽しみますが、完成品には全く執着しない子です。完成したら自分のものではないかのように、全く見向きもしません。
素晴らしい出来栄えに「破ったらもったいない」と普通は思ってしまうのですが、破ること前提で作っていた長女にとっては「せっかく頑張って作ったのに、破れなかった」んだと思います。
「その人の立場になって考える」
口では簡単に言えるけれど、実際にはとても難しい。